不貞の慰謝料-その金額は?
離婚離婚とお金(離婚慰謝料)以下のようなものが考えられます。
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目次
夫または妻に不貞があり,この不貞が主な原因となって離婚に至った場合,「不貞の慰謝料」の金額はどれくらい?
- 裁判になった場合,判決で「支払なさい」と命じられる金額としては,「200万円」が目安です
① 慰謝料の金額を決める上で考慮されること
以下のような事情が考慮されます。
・結婚期間の長さ
・結婚生活が円満であったか
・不貞期間の長さ
・「離婚」に至ったかどうか結婚期間については,たとえば「35年」などかなり長い場合には,いわゆる「相場」よりも高めになったり,「結婚して3か月」などとても短い場合には低めになったりします。
5年だといくら,10年だといくらというように,段階的に増えていくわけではありません。不貞より前から(不貞とは別の原因で)夫婦関係が悪かった場合は,慰謝料の金額が少なくなる方の事情として考慮されます。夫婦関係が悪くなった原因が「不貞をされた側」にあるような場合は,特にその傾向は強まります。
不貞期間が長い,一度不貞が発覚して「もう会いません」と約束したのに不貞を続けていた,回数が多いといった事情があると,慰謝料の金額が多くなる方の事情として考慮されます。
不貞があった結果,夫婦の関係が完全に壊れてしまい,「離婚」にまで至ってしまった場合と,(完全に許して円満な関係に復することは難しいかもしれませんが)夫婦関係をこれからも続けていくという場合では,慰謝料の金額も違ってきます。
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家庭内別居の場合,「不貞」にはならない?
- 家庭内別居やセックスレスが続いていた場合に「もう夫婦とは言えない関係だったから,配偶者ではない異性と交際しても不貞ではない。だから慰謝料も発生しない」という主張が出ることは,よくあります。
ただ,離婚はしておらず,喧嘩をしたり「離婚」という言葉が出ることはあっても具体的に離婚を勧めるための話し合いもなく,同じ家に住み,「夫婦」や「子供たちの両親」としての生活を送っているような場合,裁判所が「もう夫婦とは言えない関係だったから,配偶者とは別の異性と交際しても問題なし。慰謝料は発生しない」と判断することは,通常考えられません。
ただ,上記のとおり,「あまり円満ではなかった」として慰謝料の金額が少なくなる可能性はあります。
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心療内科や精神科の診断書があると,慰謝料の金額が大きく増える?
- 不貞慰謝料の金額には,一定の相場観があります。
また,裁判では,主には①のように「第三者が外から見てわかる事情」に基づき,いろいろな事情を総合的に見て,金額を決めていきます。
被害者がどれくらいひどいショックを受けたのかを,他人である裁判所が正確にはかることは難しいので,「これだけ結婚生活が長ければ」,「こんなに不貞の期間が長ければ」,「離婚を余儀なくされたのであれば」その被害も大きい,だから慰謝料額も高くなる…といったやり方で判断しているとも言えます。
そのため,「不貞がわかった後,うつ状態が続いている」といったことの立証として診断書を提出することは勿論有効なのですが,これは慰謝料額を決める上での要素の一つであり,「病気になったり,その症状が重ければ,裁判所が『大きな被害を受けた』と考えて,相場よりも高額な慰謝料が認定される」とは言い難いのです。