家裁で離婚が成立した場合の届出と戸籍謄本への記載
離婚離婚の届出
家庭裁判所での「調停」,「審判」,「判決」で離婚が成立した場合でも,市役所や区役所の戸籍係に「離婚届」を提出することが必要です。
家庭裁判所から戸籍係に「離婚が成立しました」という連絡がいくことはないので,当事者が「届出」をしないと,戸籍上はずっと夫婦のままということになってしまいます。
ただ,この場合,「離婚届に夫と妻が署名をする」ことは必要ありません。また,証人も不要です。
せっかく家庭裁判所で離婚が成立したのに,離婚の届出をする際に改めて「署名をしてください」とお願いしなければならないとしたら,「署名を拒まれ,いつまでたっても届出ができない」などということも起こりかねません。そうなると,旧姓に戻って新しい戸籍を作ることもできませんし,お子さんの児童手当を親権者である妻側で受給するなど,役場での手続を進めることにも支障が出てしまいます。
裁判所で離婚が成立すると,裁判所では「調停調書」,「審判書」,「判決書」といった書類を作成し,当事者に渡します。
この際,「離婚」と「親権」についてだけ記した届出用の書類も,別途作ってもらえます(養育費や財産分与,慰謝料,面会交流などの記載はありません)。この書類を持って行けば,単独で,離婚の届出をすることができます。離婚届への記入と提出も必要ですが,相手の署名欄は空白でOKです。
戸籍謄本への記載
離婚の届出を「本籍地ではない」市役所・区役所で行う場合,戸籍謄本を取り寄せて,これも一緒に提出する必要があります。
これまで数えきれないほどの戸籍謄本を確認していますが,最近,「離婚のところに,届出の受理者の記載がある」ことに気付きました。といっても,役場で届出を受理した職員の方の個人名ではなく,「熊本市中央区長」といった表記です。
最近,依頼者の方に代わって離婚届を出す機会があったので,対応してくださった方に質問したところ,「本籍地ではないところで届出をした場合,記載されるんですよ」という説明を受けました。
一般的には「へー」という程度の豆知識ですが,DVを受けていて元配偶者には今の居所を隠しているという方の場合,「どこで離婚届を出したか」がわかると,元拝具者に「このあたりに住んでるんだな」と気付かれてしまうかもしれません。
そのため,「今のお住まい=本籍地と同じ市・区」であればよいのですが,そうではなく,かつ,元配偶者に住所を秘匿している場合には,ご本人の代わりに離婚届を出しに行くということも行っています。
なお,厳密に言うと「代理で離婚届を出す」ということはできず,あくまでもご本人の作成した離婚届を「持って行くだけ」の「使者」となるようです。