モラハラを原因として慰謝料を請求できる?
離婚とお金(離婚慰謝料)配偶者からモラルハラスメント行為があり、これが原因で夫婦関係が壊れてしまって離婚に至った場合、慰謝料請求は可能です。
ただ、たとえば暴力を受けた場合、「殴られた。怪我をした。怪我の写真や診断書もある」と事実関係はシンプルで、証拠も確保しやすいですし、「殴られるようなことをした方にも非がある」という反論はなかなか受け入れられません。
しかし、モラルハラスメントの場合は、「こんなひどいことを言われた」と一つの言葉だけを取り上げて主張しても、相手から「自分もこんなことを言われて傷ついた」、「売り言葉に買い言葉で、お互い様だ」などと反論が出て、「夫婦喧嘩になって、お互いにひどい言葉を投げつけ合うことはないではないし、その程度のことならば慰謝料までは…」と判断されてしまうことも考えられます。
そのため、モラルハラスメントをどのように主張し、どのように証拠を出していくかが、とても重要になります。
まずは証拠集めです。
もし、まだ同居していて、日頃からモラルハラスメント被害を受けている場合、相手の発言を録音しておくことが考えられます。
具体的な発言内容がはっきり確認できますし、大きな声で怒鳴っていたり、物に当たるなどの行為があれば、これも利用できます。
とはいえ、うまく録音ができるとは限りませんし、態度が不自然になって録音がばれてしまう可能性もあります。
こういった場合も、悲観する必要はありません。
モラルハラスメント被害を受ける都度、「今日、こういったシチュエーション、こういった流れで、こんなことを言われた」と記録をつけていた場合、これも証拠にできます。
「私に都合よく書いている、嘘を書いている可能性も否定できないと言われるのでは」と心配される方も多いですが、「その都度つけてきた記録」にはそれなりの信用性があると裁判所は考えます。
また、インターネット上でモラルハラスメントとされる発言を採取して「私もこんなことを言われた」と嘘をつくことは簡単にできますが、「子供の誕生日、こういった出来事があり、その時に夫または妻からこんなことを言われた」といった嘘のエピソードを作り上げることは、なかなかできるものではありません。
そのため、具体的な内容まで書かれていると、信用性も増します。
とはいっても、ひどいことをされた記録をつけるのは精神的にも辛く、なかなか続けることは困難です。
「記録と言えるものは何も残っていない」という方も多いですが、それでも大丈夫です。
ご依頼をお受けした場合、「こんなことを言われた」、「こんなことがあった」というお話しを伺い、詳細かつ具体的な陳述書を作成します。
これもまた、証拠になります。
モラルハラスメントの場合、ご本人が「これが一番嫌でした」とおっしゃるエピソードではなく、「これはたいしたことではないんですけど…」、「使えるかどうかわかりませんが…」とおっしゃるようなエピソードの方が、第三者にアピールしやすい(第三者が聞いたら端的に「これはひどい」と感じる)ということもままあります。
弁護士が陳述書を作成する場合、文章力でなく、「最終的に裁判になった場合も見据えた、エピソードの取捨選択やアピール」ができるというところに強味があります。