養育費はいくら?
離婚と子ども主には、父母それぞれの収入、子供の人数、子供の年齢によって決まります。
目次
1 合意、調停、審判や裁判
親どうしで「養育費はいくら」と合意ができれば、その合意した金額です。
家庭裁判所の調停で話し合う場合には、裁判所が公表している「算定表」が基準となります。
ただし、調停はあくまで「当事者が話し合い、譲り合って合意に至る」システムなので、「必ず算定表の金額どおりに決まる」とは言えません。
算定表の金額を基準に話し合いをし、当事者が合意できれば、その合意した金額です。
裁判所が審判、判決により決める場合には、基本的に「算定表」に従った金額となります。
(裁判所のサイト)
https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html
2 算定表の養育費の金額は、何に基づいて決まる?
算定表の養育費は、以下の3つの要素に基づいて決まります。
- ① 「養育費を支払う方(=義務者)」と「養育費の支払を受ける側(=権利者)の収入
- ② 子供の人数
- ③ 子供の年齢(14歳以下/15歳以上)
① 「養育費を支払う方(=義務者)」と「養育費の支払を受ける側(=権利者)の収入
この場合の収入は「年収」です。
給与所得者であれば、手取り額ではなく、税金等を控除する前の総支給額です。
自営業者の場合は、「売上」ではなく「所得」に基づいて計算をします。
直近の年収は、源泉徴収票や確定申告書(控)、住民票を置いている市区町村で交付を受けられる「所得・課税証明書」などで確認ができます。
自営業者や、歩合制などで収入額が大きく変動する場合は、直近の年収や所得(1年分)ではなく、「過去3~5年分の年収や所得の平均額」に基づいて計算を行うこともあります。
「最近転職し、収入の体系や金額が変わった」という場合は、新しい勤務先の雇用契約書や労働条件通知書、さらに(契約書等にある給与条件が実態と異なる場合もありますし、残業代などは実際の支給を見てみないとわからないので)給与明細書を何か月分か確認して、「年収見込み額」を算出し、これに基づいて計算を行います。
② 子供の人数
子供が2人以上いる場合、「算定表」で確認できる金額は、「子供一人あたりの養育費」ではなく、「子供たち全員の養育費の総額」です。
そのため、子供が3人おり、算定表に従えば養育費は「一か月あたり6万円」という場合、「子1人あたり2万円」といった取り決めをすることになります。
(元)夫婦の間に2人以上の子供がいる場合、どちらかの親が子供たち全員の親権者となり、養育していくことが多いですが、「長男は父親、長女は母親が親権者」といったケースもあります。
また、「連れ子がいる」、「離婚後に再婚をし、再婚相手との間にも子供ができた」といったケースもあります。
「算定表」には、こういったケースに対応した表がないので、養育費の金額を確認することができませんが、弁護士であれば(そして勿論、家庭裁判所でも)計算は可能です。
算定表は「子供1~3人」のものしかありませんが、子供が4人以上いる場合の計算も可能です。
③ 子供の年齢(14歳以下/15歳以上)
義務教育である中学生ころまでと比べると、高校以降は一般的に、子供にかかるお金(特に教育費)がより嵩みます。
そのため、14歳以下の子と15歳以上の子とでは、後者の方が養育費が高くなります。
なお、私立の学校に進学したり、進学に伴い家を出て賃貸物件に住むような場合、算定表の養育費では賄えないほどの費用がかかることもあります。
また、子供に病気や障害があるため支出が多く、算定表の養育費では不十分ということもあります。
こういった特別の支出がある場合には、実際にかかる金額を前提に、算定表以上の養育費を取り決めることもできますし、折り合いがつかない場合には、裁判所の調停で話し合ったり、それでも折り合いがつかない場合には「審判」という形で裁判所に決めてもらうこともできます。
ただ、進学や習い事でお金がかかるという場合、養育費を支払う側(義務者)が進学や習い事に賛成していて、お金も負担すると約束していた場合はよいですが、事前の相談や了承もないまま進学等を決めてしまい、「算定表の養育費では全く足りないので、もっと払って欲しい」と求めた場合、当然に負担してもらえるとは言えません。