離婚調停を弁護士に依頼する6つのメリット
弁護士に依頼するメリット① 実務経験に基づく的確な対応
最近は、インターネットを利用することで判例などの情報にも簡単にアクセスできます。
しかし、「この判例のケースは私の状況と似ているから、私の場合もこの判例と同じ結論が出るだろう」と単純に考えるのは危険です。
実際の事件では、夫や妻、子供それぞれの状況や事情を踏まえ、さらにこれを「総合的に考慮」して判断が行われます。
年金分割のように「ほぼ争う余地がない」領域もありますが、「Aという事実があれば必ずBという結論が出る」とは言えない事柄も多々あります。
実際に調停や審判、裁判を経験している弁護士であれば、その実務上の経験から見通しを立てたり、こちらの主張を裏付け、補強するような判例や文献を探し、これを活用して主張を行うといったことができます。
② 話し合いの流れを作る
「私は裁判をするつもりはないので、①のようなメリットを提示されても意味がない」と思われるかもしれません。
たしかに、調停は「話し合い」であり、互いに「私はこうしたい」という希望や主張を出し合い、譲り合って、解決策を探っていく手続です。
そのため、「気が弱かったり、バランス感覚が優れていたり、間に入ってくれている調停委員の方々の苦労を慮ることができる人」と「とにかく自分の主張を譲らない人」が調停をすれば、前者だけが譲歩を重ね、その結果として折り合いがついた…という展開になることもあり得ます。
実際のところ、「声が大きい人、絶対に譲らない人の要求が通りやすい」という面は否定できません。
しかし、調停は、当事者だけが綱引きをする場ではなく、調停委員会という第三者が間に入って行う裁判所の手続です。
したがって、声の大きい側の言い分が通りそうになっても、「その主張は、裁判になれば通りませんよ」、「裁判になった場合、こういった結論になりますよ」といった返し方をしていくことで、流れをこちらに引き戻すことが可能になります。
③ 調停委員への対応
調停を担当する「調停委員会」は、裁判官1名と調停委員2名で構成されますが、調停を行う部屋に裁判官が同席することは滅多にありません。
調停委員は、たいていの場合、弁護士や裁判官などの「法律の専門家」ではありません。
そのため、「裁判になった場合、どのような結論が出るか?」を、実務上の経験として把握してはいません。
法律上の争点について、時には間違った発言が出ることもあります。
また、相手方の勢いに押されてしまってこちらにばかり譲歩を求めてくる、(おそらく無意識に)ご自身の信条や考えを押し付けてくるということも起こり得ます。
こういった場合、どうしても「調停委員の方がこうおっしゃっているということは、それが正しいのかな?受け入れなければならないのかな?」、「提案を拒んだら心証を悪くして、味方をしてもらえなくなるかもしれない」、「ここまで親身に話を聞いてもらったのに、断っては申し訳ない」といった気持ちになりがちです。
しかし、調停で話し合っていることはあなたの人生の一大事ですから、納得できないことをそんな理由で受け入れてはいけません。
こういった場合も、代理人がいれば、「相手の言い分は法律上正しいものなのか?」を確認することができますし、ご本人には断りにくいこと、言いにくいことでも、代理人として「それは無理です」、「こういった条件であれば受け入れられます」と返したり、「強引に話を進めるのはやめてください」と申し入れることもできます。
④ 必要な事実や資料の取捨選択、提出
こちらの主張や希望を通す上で、「どういった事実を伝える必要があるのか?」、「どんな資料を提出する必要があるのか?」についても、実務経験に基づき判断します。
調停での期日は時間が限られていますし、ご本人のお話はどうしても「第三者に伝わりにくい」場合があります。そのため、事前にヒアリングをし、事実関係を把握した上で、必要な情報を選び、より効果的に伝えます。
期日に口頭で伝えるだけでなく、場合によっては書面を作成して提出する方法もとります。
資料についても、「こういった資料があれば出しましょう」、「ここに行けば必要な資料を受け取れるので、こういった手続をとってください」とお伝えできます。
資料の多くは、ご本人に取得いただく必要がありますが、弁護士会を通じての照会、市役所その他への交付申請により、ご本人ではなく代理人が取得できるものもあります。
⑤ 精神的な負担を軽くできる
裁判所や相手方とのやり取りは全て代理人が行いますから、ご本人が直接対応する必要はありません。
たとえ「話し合い」であっても、裁判所に当事者として赴き、裁判所での手続に参加するというのは、とても気の重いことだと思いますし、「ついうっかり不利なことを言ってしまったらどうしよう」といった不安もあるかと思います。
ご本人が裁判所での期日に出席される際は、代理人も必ず同席します。
ご本人が話した内容が「誤解されるかも」、「補足しておいた方がよさそう」と判断すれば、追加で発言もします。
また、「調停委員から質問を受けた際、答えはしたが、緊張していて何を聞かれたのか、自分が何を答えたのかもよくわからない」といった場合も、後でお尋ねいただければ、「こんな質問でしたよ」、「おそらくこういった目的で聞かれたのだと思います」、「ちゃんと回答できていましたよ」と確認が可能です。
⑥ 期日の内容を後で確認できる
当事務所でご依頼をお受けした場合、調停で話された内容を文書にまとめ、メールまたは郵便で、依頼者の方にお送りしています。
「調停の場では緊張していて、何を話したのかよく覚えていない」、「法律的な話もたくさん出て、どういう結論になったのかよくわからなかった」と言われることもよくありますが、調停が終わった後、その内容を落ち着いて確認いただくことが可能です。