配偶者に離婚を伝える「前」にすべきこと |熊本の離婚・慰謝料請求に強い女性弁護士

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配偶者に離婚を伝える「前」にすべきこと

一つは、証拠を集めておくことです。
 
たとえば配偶者が浮気をしている場合、これは離婚事由になりますし、慰謝料を請求できる原因にもなります。
配偶者に「浮気を知っている」と告げたり、離婚を求めたりすれば、通常、証拠はつかみにくくなります。
「浮気をやめてくれればそれでよい」という場合はそれでよいですが、離婚や慰謝料請求を考えている場合は、まず、証拠の確保が必要です。
 
なお、「浮気は間違いなく事実だし、配偶者本人も認めている。
それでも証拠がいるんですか?」とご質問を受けることもありますが、弁護士としては、「現段階で浮気を認めているとしても、離婚や慰謝料の請求を受けたら、否定しだすかもしれない。
それでも勝てるだけの証拠があるか?」という点は気になります。
 
配偶者から暴力を受けている場合も、離婚事由や慰謝料を請求できる原因となります。
病院を受診したり(診断書やカルテは後日受け取ることもできます)、怪我をした部位を撮影して保存しておくといったことが考えられます。
暴言がある場合、録画や録音があれば、証拠になります。
ただ、不自然な動きになることで配偶者に悟られたり、その結果、暴力を受けるようなこともあります。
また、せっかく録画や録音ができても「この内容や画質(音質)では証拠にならない」ということもあります。
ただ、「録画や録音のような客観的な証拠がなければ、絶対にダメ」ということはないので、諦める必要はありません。
日付や場所が明らかで、発言内容なども具体的に記されている記録は、それなりの信用性が認められますから、「いつ、どこで、どのようなシチュエーションで、何を言われたか」を具体的に記録しておきましょう。
 
財産に関しても、「証拠」は必要です。
 
財産分与にあたっては、まず「財産分与の対象となる財産(=結婚後、夫婦の協力により築いた財産)」がどこにあるのか?を明らかにする必要があります。
配偶者が「ここにこれだけの財産があります」と教えてくれたらよいのですが、残念なことに、私たちが関与するような案件の多くでは、なかなか教えてもらえません。
特に、家計や財産の管理は配偶者がメインで行っていて、「どういったやり繰りをしているのか、お金を貯めているのかどうかもよくわからない」、「配偶者名義の口座にお金を貯めているようだが、口座がどこにあるのかよくわからない」といった場合、離婚を切り出す前、家を出る前に、「どこにどんな財産があるのか?」の手がかりを探しておくことは、とても重要です。
 
「この金融機関に預金があるようだ」、「ここの保険会社の保険があるようだ」、「この証券会社と取引があるようだ」といった手がかりがあれば、たとえば離婚調停の中で「調査嘱託」の手続をとることで、調査が可能になります。
 
もう一つは、別居の準備です。
 
こういったサイトをご覧になっているということは、離婚そのものや親権、お金のことなどが「話し合いではスムーズに解決しなさそう」と懸念されているものと思います。
この場合、一緒に住みながら「話し合い」をするのは、かなり困難ですし、ストレスもたまりますし、時には危険もあります。
 
また、「離婚したい」と伝えたことで、配偶者からお金の管理を取り上げられたり、厳しく監視されるようになったり、「離婚してもよいが、子供は絶対に渡さない」と強く言われたりして「身動きが取れなくなってしまった」ということは、よくあります。
そのため、「今すぐ別居」というつもりはないとしても、いざとなれば家を出られるよう、どこに住むのか(実家に戻る、家を借りる、シェルターに入るなど)、家を出た後の生活をどうするのか、初期費用や生活費はどうするのかといったことを具体的に考え、身近な方や行政機関などに相談しておいた方がよいでしょう。
特に、暴力を受けている場合、お子さんがいる場合などは、住まいやお金に関することは市役所や区役所でのご相談をお勧めします。

この記事の作成者

弁護士髙木 紀子(たかぎ のりこ)

熊本県弁護士会所属 56期

依頼された事件を単に処理するだけではなく、依頼してくださる「あなた」の幸せを実現します! 「トラブル」の相手はご本人にとって非常に身近な人です。家族・親族が相手となると、どうしても「気持ち」に関わるところが前面に出てきます。でも、こういったお気持ちに関することを無視してしまうと、ご自身がどうしたいか、どんな形になれば「解決した」、「安心した」と言えるのかも見えず、法律上の問題を解決することもできなくなってしまいます。「この人になら、自分の気持ちを話してもいいかな」、「この人になら、『こうして欲しい』、『そのやり方はちょっと違うような気がする』と遠慮なく言えそうだな」、「わからないことがあっても、遠慮せず質問ができそうだな」と感じていただき、問題を解決する「心強い味方」になることができればと思っています。

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