相手が拒んでも離婚できるのは,どんな場合? |熊本の離婚・慰謝料請求に強い女性弁護士

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相手が拒んでも離婚できるのは,どんな場合?

夫婦の一方が「離婚したくない」と拒んだとしても,裁判で離婚を認めてもらえるのはどういった場合か?というのは,法律(民法770条1項)で決まっています。これを「法定離婚事由」といいます。

配偶者に不貞な行為があったとき

①の「不貞」は,「肉体関係がある」ことが条件になります。

メールやLINEで「好きだ」,「会いたい」といったやり取りをしているとか,頻繁に二人きりで会っているというだけでは「不貞」にはなりません。ただ,配偶者以外の異性と恋愛関係になったせいで,配偶者や家庭をないがしろにしている,お金を無駄遣いしているといった場合は,⑤に該当する可能性があります。

配偶者から悪意で遺棄されたとき。

②の「悪意の遺棄」というのは,正当な理由なく家を出て行ってしまう,家にお金を入れてくれないなど,夫婦間の同居・協力・扶養義務を果たさない場合です。

たとえば,単身赴任,親を介護する必要があって実家に戻っているといった場合は,家を出ていても「正当な理由」があると言えるでしょう。

そもそも夫婦間に問題があり,「もうこの人とはやっていけない」と家を出た場合は,「悪意の遺棄」には当たらないかと思います。

「ここは俺の家だ!」などと言って配偶者を家から追い出してしまうといった場合は,「悪意の遺棄」にあたるかと思います。

「と思います」と曖昧な表現なのは,具体的な事情を伺ってみないと判断が難しい場合も多いですし,相手の言い分を聞いてみるとまた話が変わって来る…という余地もあるためです。

配偶者の生死が三年以上明らかでないとき

③は,「生きているのか亡くなっているのかわからない」という状態が3年以上続いていることが条件となります。

家を出て行ってしまい,警察に捜索願を出したが見つからない,連絡もないし,携帯電話やキャッシュカードなどが使われた形跡もない,そして,「遺体がみつかる」など亡くなったことの確認もとれない…といった場合です。

「家を出て行って,こちらからは連絡がつかないし,居所もわからないが,時々葉書が届いたりお金が振り込まれるので,生きてはいるようだ」といった場合は,該当しません。

配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないとき

④は,あまりに症状が重く,回復の見込みもないようだと,夫婦として「互いに」同居・協力・扶養することが期待できず,病気ではない側の配偶者に「ずっと夫婦でいること」,「支え続けること」を求めるのは酷だという理由からでしょう。

その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

⑤は,「不貞」を除くと,離婚裁判で最も主張されることが多い事由かと思います。

相手が離婚を拒んでいても離婚が成立してしまうほどの事情なので,「不貞」をはじめとする①~④と同程度の悪質さや,「ここまでの状態になってしまっては,形ばかり婚姻関係を続けていても意味がない」といった事情があることが必要です。典型的な例が,暴力(喧嘩になってお互い引っ掻きあった,もみ合いになった等の程度のものは除きます)や,長年にわたり別居が続いているような場合です。

どういった場合がこれに該当し,離婚を認めてもらえるか?というのは,お話を具体的に伺ってみないと判断が難しいです。

また,⑤に限らず,判断をするのは,当事者(夫婦)とは全くの他人である裁判所なので,「証拠」が絶対に必要です。

ご本人にとっては「たしかに事実である」ことが間違いなくても,証拠がなければ,裁判所には「実際に何が起こったのか」を判断できません。そのため,不貞(①)であれば興信所を利用したり,暴力(⑤)であれば怪我の写真を撮影したり,警察や女性センターに相談したり,病院で診察を受けたりといったことが考えられます。

「第三者の証言や,写真など客観的な証拠は何もない」という場合でも,ご本人が日記をつけていたり,記憶をたどって「この日,この場所で,このようなシチュエーションで,こういうことを言われた,された」といった詳細な陳述書を作ることができれば,これも証拠になります。「証拠は何もない」と諦める必要はありません。

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この記事の作成者

弁護士髙木 紀子(たかぎ のりこ)

熊本県弁護士会所属 56期

依頼された事件を単に処理するだけではなく、依頼してくださる「あなた」の幸せを実現します! 「トラブル」の相手はご本人にとって非常に身近な人です。家族・親族が相手となると、どうしても「気持ち」に関わるところが前面に出てきます。でも、こういったお気持ちに関することを無視してしまうと、ご自身がどうしたいか、どんな形になれば「解決した」、「安心した」と言えるのかも見えず、法律上の問題を解決することもできなくなってしまいます。「この人になら、自分の気持ちを話してもいいかな」、「この人になら、『こうして欲しい』、『そのやり方はちょっと違うような気がする』と遠慮なく言えそうだな」、「わからないことがあっても、遠慮せず質問ができそうだな」と感じていただき、問題を解決する「心強い味方」になることができればと思っています。

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