慰謝料はいつまで請求できる?
離婚とお金(離婚慰謝料)1 請求できる期間には限りがある
配偶者が「悪いこと」をし、これを知った時から3年間は、請求ができます。
たとえば、夫が浮気をしており、妻が2022年5月1日に夫の浮気を知った場合、その日から3年間(但、知った当日はカウントしない)は請求ができるので、2025年5月1日までは請求が可能です。
なお、「悪いこと」が浮気である場合、配偶者と浮気相手(Aさん)の関係が続いている間は「連続した一つの不貞」と考えます。
そのため、以下のような場合、妻が慰謝料を請求できるのは「知った時」から3年ではなく、「最後の浮気」から3年となり、2025年7月1日までは請求ができます。
→2022年5月1日、「夫がAさんと浮気をしている」ことを妻が知る
→その後も夫とAさんの浮気は続き、2022年7月1日、Aさん宅で夫とAさんが二人きりで過ごしているところを妻が訪ね、浮気が終わる
このように、請求ができる期間を限定する制度を、「時効」といいます。
「悪いこと」をされても、リアルタイムで知ることができるとは限りません。
昔の浮気を知ってしまい、その結果、結婚生活を続けられなくなることもあります。
この場合も、浮気を知った時から3年は、慰謝料請求ができます(ただし、浮気が20年以上前のものであれば不可)。
2 3年以上前に浮気があり、その時点で浮気を知っていた場合、もう慰謝料請求はできない?
浮気を知った時点では離婚を選ばなかったが、3年以上経ってから「やっぱり許せない。離婚したい」となることもあります。
この場合、浮気からも、浮気を知った時からも3年以上が経っているので、慰謝料は請求できないのでしょうか?
その答えは、浮気相手との関係ではYESですが、浮気をした夫または妻への請求についてはNOです。
浮気が原因で離婚に至ったという場合、「浮気そのものに対する慰謝料(不貞慰謝料)」ではなく、「浮気によって家庭が壊れ、離婚を余儀なくされたことへの慰謝料(離婚慰謝料)」と構成することで、離婚から3年間は請求ができます。
また、民法159条は、「夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から6か月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」と定めています。
結婚しながら、「慰謝料を払って」、「貸したお金を返して」といった話をしてもなかなかうまく進みませんし、家庭内の雰囲気が悪くなることを考えると請求すること自体憚られる…という方も多いでしょう。
また、夫婦であれば家計は一つなので、夫から妻、妻から夫にお金を払っても、支払を受けた側がそのお金を自分のためだけに使うことは難しく、家計に入れて家族みんなのために使う結果になることも多いでしょう。
そのため、夫から妻、妻から夫に対する請求については例外的に、「夫婦である限りは時効にならない」ことになっています。
この時効の話はややこしいので、「証拠」や「お金をちゃんと払ってもらえそうかどうか」とともに、弁護士へのご相談をお勧めします。