家を出た後の生活が不安。離婚前でも児童手当や児童扶養手当は受給できる?
1 児童手当
お子さんの児童手当は、一般的には父母のうち所得の高い側に振り込まれるため、「夫の口座に振り込まれている」というご家庭が多いかと思います。
妻(母親)が子供と一緒に家を出て、「子供と一緒に住んで面倒を見ているのは母親(だけ)」という状態になっても、児童手当はそれまでどおり夫(父親)の口座に振り込まれます。
ただし、以下の2つを行い、住所のある市役所(区役所)で「夫とは別居していて、子供と一緒に住んで面倒を見ているのは母親である私です。
児童手当の受給者を夫から私に変更してください」と申請をすると、申請を行った翌月分からは、児童手当を受給できるようになります。
- 住民票を異動し、市役所(区役所)が「子供と同居しているのは母親だけで、子供と父親の住所は異なる」と確認できる状態にする
- 家庭裁判所で離婚調停や婚姻費用分担調停を行っていることを確認できる文書を提出する(裁判所が作成してくれる係属証明や、弁護士との委任契約書、法テラスの決定書など)
「住民票を移したら、夫に今の住所がわかってしまうかもしれない。
児童手当は受給したいが、住民票を移すのは怖い」という場合、住民票の閲覧を制限してもらう(いわゆるブロック)方法が考えられます。
2 配偶者からの暴力や脅迫があり、保護命令が出ている場合
配偶者から暴力を受けていたり、実際に暴力を振るわれることはなくても「殺すぞ」といった脅しを受けている場合などは、ご自身やお子さん、ご両親などの身を守るために、警察や女性センターに保護を求めたり、保護命令の申立を行うことが考えられます。
児童扶養手当(いわゆる母子手当)は、ひとり親世帯が対象ですから、通常は「別居しているが、離婚はしていない」という段階では支給を受けられません。
でも、保護命令が出ている場合は、離婚成立前であっても、児童扶養手当の対象になります。
3 市役所や区役所での相談
別居後の公的なサポートについては、市役所や区役所で直接相談されることをお勧めします。正式に離婚が成立する前でも、離婚が成立した「ひとり親世帯」と同様のサポートを受けられる場合・部分があります。
「裁判所から書類をもらって提出してください」、「弁護士への依頼を確認できる書類を提出してください」と言われたり、「今どういった状況なのかと聞かれたが、どんなふうに説明すればよいのかわからない」といった場合、ご相談いただければ、こちらで対応したり、市役所や区役所に直接電話をかけて説明をするといったことも可能です(離婚などのご依頼をお受けしている場合に限ります)。
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